骨粗鬆症について
WHO(世界保健機関)による骨粗鬆症の定義は、低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし骨の脆弱性が増大し骨折の危険性が増大する疾患です。骨粗鬆症を疾患としてとらえ、しっかりと診断し様々な危険因子を総合的に判断して適切な時期に適切な治療を開始することで、最終的に骨量の増加を図り将来的な骨折を予防することが重要です。
最近進歩している骨粗鬆症治療
以前は骨量を増加させることは老化をとめると同じく不可能に近いという印象があったと思います。人体では数百万か所の骨組織で古い骨組織は破骨細胞によって吸収され、その後に骨芽細胞により骨形成が行われており、たえずリモデリングされています。骨の吸収が形成を上回ると結果として骨量は低下します。現在はその破骨細胞や骨芽細胞の活性を薬剤にてコントロールできるようになってきました。すなわち破骨細胞の活性を抑えれば骨吸収が少なくなり、または骨芽細胞の活性を高めてやれば骨形成が増加して骨量増加が見込めます。
代表的な薬剤としてはビスホスホネート製剤、テリパラチド製剤、抗RANKL抗体製剤などがあります。個々の患者様により背景が異なるため、適切な治療薬を選択することが重要です。
健康寿命をのばすために
骨粗鬆症治療が進歩し治療のための薬剤の選択肢が増えてきました。今後も開発中の薬剤もあるため、それぞれの患者様にあった治療法を見極めることが重要です。日本も高齢化を迎え、骨粗鬆症の患者様の増加が予想されており、医師のみで対応することが困難となってきているのが現状です。そのため日本骨粗鬆症学会が中心となり、骨粗鬆症リエゾンサービスを展開することになりました。看護師をはじめとし薬剤師や栄養士、放射線技師などあらゆる医療者に医師と患者様の間に入ってもらい、細かいところまで確認し個々に適した治療を選択する手助けをする制度です。当院でも資格を取った看護師が外来で活躍しています。毎年のように平均寿命は伸びていますが、元気で自分で思いどおりに動ける状態で年をとることが大切ではないでしょうか。そのためのお手伝いができるようにスタッフ一同日々診療しています。